オムライスの日

「菅。お昼はオムライスがイイわ」

寝起きでダイニングに現れたマイコ先生が発した一言目でございます。

淹れたてのコーヒーが香る部屋に、春の柔らかい朝日が差し込んでおります。
世の中は本日が入学式だったようで、キッチンから見える景色に、真新しい制服を着た学生さん達が見られました。

「そう…入学式か、懐かしいわね」

その事をお話しいたしましたら、遠くを懐かしむ目をなさいました。

「そうですね…忘れもしません。お嬢様の小学校の入学式は…むごっ」

「それは忘れなさいっ!!」

そんな朝のやり取りがあったと思えば、既に時刻は正午を過ぎておりました。

マイコ先生はお客様への施術中でして、私はと言えば、マイコ先生からオーダーされておりますオムライスを作製中でございます。


「ありがとうございました。また、いらしてくださいね」


お客様を終えられたのですね。
ならば、一息に仕上げてしまいましょう。

既に味付けまで終わっているデミライスを取り出します。
フライパンを温め、溶き卵を流し、かき混ぜながら焼き上げていきましょう。
軽くとろみが残っているところに、先ほどのデミライスを置いて巻き込み。

オムライスの完成。


「うふふ。菅にしては面白いわね」

「そうですか?」

「オムライスにオムライスって書くなんて」

「これでもかってくらいに、オムライス感を出してみたのですが…」

「イイわね。それじゃ、頂きます」